Tagebuch einer Katze

とある猫の日記

帰ってきて思うこと

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※これは2017年に書いたまま放置していた記事です。下書きに残っていたのでそのまま投稿します。

 

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リスボン2日目以降を放置したままですが、今回は少し関係のない話をします。

 

早いもので、2月の頭に帰国してからもうすぐ2ヶ月が経とうとしています。何よりもまず無事に帰ってくることができて、本当に良かったです。

私はこの1年間ずっと、とにかくお刺身が食べたくて食べたくて、空港に着いてすぐそのまま迎えに来てくれた友だちと空港内にあるレストランに行って、刺身盛り合わせを食べました。2月中はだらだらしながら食べたいものを食べて、会いたい人に会って、温泉へ行って、それで3月1日からは就活をしています。日本に帰ってきてから体重が5キロ増えて、留学中ずっと困っていた原因不明の肌荒れも1ヶ月ほどで急に良くなりました。

 

どういう経緯かはよくわかりませんが、最近いろいろな人にこのブログを読んでいただいているようです。元々生存報告と、自分がわからなくて困ったことや体験出来て嬉しかったことを誰かが見つけて役立ててくれたらなあという軽い気持ちで始めたので、少し戸惑っています。志が低くて申し訳ありません。

 

最近就活をしている中で、是が非でも留学のことを振り返らなければならないのですが、それが今の自分にとっては何よりも一番つらいです。他の記事を読んでいる方がいたらわかるかもしれませんが、旅行についてばかり書いているところから何となく察していただければと思います。

 

「留学」という言葉をインターネットで検索すると、必ず「成功する留学」や「留学の失敗談、失敗例」などといったフレーズが出てくると思います。詳細は省きますが、要するに留学という雛形がすでにあって、それにあてはまらない留学は無意味で価値がない、という世間的な考えがあるということです。

 

この観点から自分の留学を振り返ると、この一年間はこれ以上無い失敗例に挙げられると思います。友達は少ない、未だに語学力に自信がない、大学の授業は休みがち、試験はぼろぼろ、後期の語学コースはドロップアウト、引きこもり、などなど最悪としか言い表せないほどの最悪です。もちろんエントリーシートに書けるエピソードなんて一つもありません。

 

そもそも私が留学した理由は、ドイツ語が好きだったわけでも勉強がしたかったわけでもなく、ただなんとなく一年間親元を離れて海外で生活してみたかったからです。一人暮らしがしたかった、それだけです。ところが他大からの留学生は当然意識の高い人ばかり、語学コースの他のクラスメイトはみんな何かしらの事情を抱えていて、その中で何かのためにドイツ語を必死に習得しなければならない人ばかりで、私のようにただ漠然とドイツ語だけを勉強している人なんて一人もいませんでした。毎日毎日自己嫌悪してばかりで、かといって何かを頑張る気力も無く、ただぼんやり生活して一年間が過ぎました。

 

留学を通してできるようになったこともあります。家事が出来るようになったし、一人でどこへでも行けるようになりました。多少の度胸もついたと思います。自分と向き合わざるを得なくて、この性格を少しずつ受け入れられるようになりました。そして何より一人暮らしができることを証明できて、そのことは自分にとっても自信になりました。

 

私の留学していた一年間は、はっきり言って価値のない、無駄な一年間だったと思います。就活からも卒論からも逃げ出して、その上自分を甘やかし続けたことを正当化するつもりもありません。だからといってそれなら行かなければ良かったのか、というとそうは思っていません。つらいことや嫌なことばかりだったけれど自分なりに楽しかったし、行きたいと思っていた場所にも行けて、ほんの少しだけれどまた会いに行かなきゃと思える友達が出来て、十分幸せだし留学してよかったと思っています。

おいしいものを食べまくる、よくわからないジュースを全部試す、路面電車に乗って街を探検する、学校帰りに散歩する、誰もいない教会でオルガンの練習をぼんやり聞く、ふらっと近くの国へ旅行に行く、綺麗な景色を見て感動する、こういうことが出来るのは今のうちだけだし、学生の特権です。無意味なことをするのはとっても贅沢で、もうこの先二度と出来ないことだと思います。

 

結局何が言いたかったのかというと、もしも「何の目的も理由もないけれど、でも留学してみたい」と思っているなら、ぜひ挑戦してみて欲しいということです。私自身、「ほんの少しでも行ってみたいという気持ちがあるなら、行った方がいいよ」「ただ行って、帰ってくればそれでいいよ」という教授や先輩の言葉に背中を押してもらいました。留学した意味なんて何十年も先にならないとわからないかもしれませんが、でもこれから先の人生を生きていく上で、挑戦しなかったことを後悔しないというのもとても大切なことだと思います。留学が就活や仕事に役立たなくても、別に良いのではないでしょうか。(まあ実際のところ良くはないのですが)

誰も読んでいないかもしれないけれど、もし悩んでいる誰かの背中を押すことができたら嬉しいです。