Tagebuch einer Katze

とある猫の日記

振り返ってみて

最後の記事を書いてから、6年近く経っていました。

 

結局途中までで終わっているし、古い情報を載せておくのも何だかなあというもやもやと、思いのほか多くの人に読んでいただいているのが怖くなったことから、ずっと非公開にしていて存在自体も忘れていたのですが、久しぶりに思い出して読んでみたら案外面白かったので、また公開してみることにします。きっと誰も読んでいないと思いますが。

 

旅行の記録が中心で、留学生活のことにはあまり触れていないことからもわかる通り、私のウィーンでの1年間の生活はそれはそれはひどいものでした。留学、と言うのも憚られて、海外で遊んでいたと申告しています。帰国後はなんとか独検準1級を取得しましたが、ドイツ語はさして上達していませんし、折角の機会でしたがウィーン大学で特に学びたいことも何も無くふらふらしていました。そのため、同級生が卒業したあとの、留学経験者という肩書きとともに参加する大学のゼミは本当に苦痛でした。

 

勉学以外においても同じで、現地の友人はほとんど出来ませんでしたし、かと言って日本人とも仲良くなれませんでしたので、ほとんどひとり。ウィーンに着いた日にはこれから1年間日本には帰れないんだ、と思ってそこから毎日泣いていました。

 

それなら留学なんて行かなければよかったのに、と思われるかもしれません。私がウィーンに行ったのは、家族から逃げて一人暮らしをしたかったというそれだけの理由でした。何かを学びたい訳ではなくただ逃げたくて、一人暮らしを許されたのが留学という形だっただけです。

 

世間一般的に言う勉学に励み、様々なコミュニティの人と交遊する「有意義な留学生活」は送れませんでしたが、洗濯も料理すらも何も出来ない状態だった自分が、外国で何とか一人で生活出来たというのは多少なりとも自信になりました。また1年間を何とか耐えたことで、精神的にも強くなれたと思います。ウィーンに行ったことは後悔していません。

実際に社会人になってから辛いことは山のようにありましたが、ウィーンにいた時よりはマシと思って、大体乗り越えています。(そんなに辛かったのかと自分でもびっくりしてしまいますが)

 

帰国後、数年間は当時の写真を見るのも苦痛で思い出したくも無かったので未だに整理ができていません。ドイツ語にも全く触れていませんでしたので、ほとんど忘れてしまいました。でも最近、ようやくまたドイツ語に触れてみようかなという前向きな気持ちがほんの少しだけ芽生えるようになりました。

 

就職活動では留学経験があっても決して簡単に内定を貰えたわけではなく、散々苦戦した結果1社だけ内定をいただいたメーカーに今も勤めています。大学で勉強していていたこととは全く関係の無い仕事をしていますが、それなりに充実しています。留学で失敗したからといって、その後の人生が全て駄目になるわけではありません。

 

世の中には生存者バイアスというものがありますので、キラキラした成功者の体験談ばかりが溢れています。そんな成功者たちと自分を比べて辛い気持ちになってしまった方が、もしこの記事を見つけて、少しでも気持ちが楽になってくれれば幸いです。

 

長くなってしまいましたが、また気が向いたら当時のことを思い出しながら、写真の整理がてら記事を書きたいと思っています。では、また!